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30年ほど前の話だが、勤めてた軍港の外れに普段は使われていないエリアがあったんだ。 
 
無人エリアで艀にも船影は無い、寂れて人が居ない港を想像したらいいよ。 
 
その日は小雨が降る夏の終わりで、部下と4人で書類や機材をビルの2階へ運んでいた。 

普段は使われてないから当然電気も無いのでブラインドを開けての作業。 
 
オフィスの中は全てが古臭く、タイムスリップしたみたいな感じで、ひと段落した後に古い書類や写真とかを見ていたんだ。
 
いつの間にか雨も止んで夕日が差し込んできた。 
 
そろそろ戻るかと思った時、1Fから電話の音が短くなった。 
 
当然電話も通じてないはずだから、4人ともビックリして目を合わせて無言で固まってた。 
 
そしたら外からパイプ(海軍のサイドパイプだと思う)が聞こえてきた。 
 
ここに来てるのは自分達だけのはず、なんだ?!と思って皆で外に出たんだ。
 
外に出ると、岸壁にアーミーが整列してたんだよ。 
 
何事だ?と思ってよく見ると、何かおかしい。 
 
辺り一面異様な程のオレンジ色の夕焼けの中でモノクロなんだよそこだけが。 
 
そいつらは微動だにしないで無言、と言うか無音。 
 
そしたらだんだん透けて来て消えだしたんだ。 
 
でも最後の1人が消える前にこっちを見たんだ、悲しそうな目で。
俺ら4人とも泣いてたよ。 
 
岸壁に向かって敬礼しながらね。 
 
あいつらはここから戦地に向かったんだろうね。 
 
そう話してくれた彼の目は潤んでました。